室内CO2濃度が引き起こす健康リスクと植物の役割 - 緑のレンタル | グリーンポケット          

小さな森づくりコラム

  • 2024.07.08

    室内のCO2を吸収

    室内CO2濃度が引き起こす健康リスクと植物の役割

     

    地球温暖化という国際規模の大問題は、空気中に滞ってしまったCO2の増加が原因とされています。それにより、地球の健康のバランスが崩れてしまったのです。

    そしてCO2は、環境問題だけではなく、私たちの身近な生活にもマイナスの影響をあたえます。特に1日の大半を過ごす室内のCO2の増加は、眠気や頭痛など体調に悪影響を引き起こす原因の1つと言われています。つまり、CO2の濃度が一定の数値を超えると、人の健康に害を及ぼすのです。それは死に至る危険性もあることを認識すべきでしょう。

     

    国は換気に関する法律において、室内のCO2濃度は建築物において1,000ppm以下(厚生労働省/建築物環境衛生管理基準)、教育施設は1,500 ppm以下(文部科学省/学校環境衛生基準)に保つよう定めています。何故ならCO2の濃度が上がると人体に悪い影響がでるからです。国の研究機関である科学技術振興機構は、CO2の濃度が及ぼす身体の症状について、表のようにまとめています。

    一般的な外気に含まれるCO2濃度は400ppm前後で、これが快適な状態といってよいかもしれません。しかし、上記の法律で定められた1000ppmを超えると、軽い眠気に襲われます。即ち、影響が出始めます。1600ppmからは不愉快になり、2500ppmからは頭痛や眩暈など健康に悪影響がでてくるとされています。怖いのは20ppm、つまり濃度が20%を超すと死の危険があるということです。

     

    CO2濃度 症状
    400ppm 症状なし(大気中に含まれる濃度)
    1000ppm 軽い眠気
    1600ppm うとうと、不愉快
    2500ppm 健康への悪影響
    4000ppm 血圧上昇、耳鳴り

     

     CO2の増加は地球温暖化を起こす原因となるだけではなく、人間の健康にまで悪い影響を及ぼすようです。仕事をしていてウトウトする、頭痛がするというのは、本人の体調ではなくオフィスのCO2濃度の高さが引き起こしているのかもしれません。それが会社の雰囲気を暗くし、社員のモチベーションを下げ、仕事がはかとらず、成果につながらない。まさしく、オフィスの「空気」が悪いのです。そこに植物を置くことで、少しでもCO2を減らすことができるのです。

     

    今までCO2の増加は、地球温暖化の原因とされることから環境問題としてクローズアップされてきました。しかしこれからは健康問題としも語られることが多くなりそうです。実際に、CO2が身体へ悪い影響を与え、死に至る例もでてきているのです。

     

    ここ数年で、二酸化炭素中毒での死亡事故が起きています。二酸化炭素中毒という言葉が使われ始めたのは2020年からです。消費者庁は2021年までの2年間で葬儀の際に3件の二酸化炭素中毒による死亡事故が起きたと発表しました。この事故は、故人に最後の別れをしようと棺の中に顔を入れたときに、二酸化炭素を吸い込んだことによるものとされています。棺の中には遺体の保全のためドライアイスが入れられ、そこからでる二酸化炭素で棺の中が充満していたのです。消費者庁は葬儀の際の注意点として、棺に不用意に顔を近づけない、部屋の換気を十分行うよう呼び掛けています。

    地球温暖化など環境問題では二酸化炭素をCO2と言いなれてしまったので、二酸化炭素とは久し振りに聞いた言葉ですが、いずれにせよ怖いニュースですね。

     

    このように室内のCO2が人の生死に関わる事例がでてきました。実際の生活の中ではどうでしょうか。例えばCO2の濃度によって、仕事や勉強のパフォーマンスに差が出るのでしょうか。普通に考えれば、CO2の濃度が低い方がパフォーマンスは上がり、濃度が上がれば集中力は落ちることが予想されます。この件について、アメリカの大学と日本の高校で行われた、2つの研究結果からの考察です。

     

     

    〇CO2濃度が高くなると意思決定力は低下する

     

    先ずはアメリカの大学での実験結果です。ローレンス・バークレー国立研究所とニューヨーク州立大学は、次の共同研究を行いました。室内のCO2濃度を600ppm、1000ppm、2500ppmに設定した3つの部屋を用意して、それぞれの環境で9種類の意思決定力テストを行いました。意思決定力テストとは、「情報検索」、「情報活用」、「基本的な戦略」など9種類の意思決定に関する質問に対する回答の、スピードや正確性などを分析するものです。結果は次の通りです。

     

    600pmでは有意な差は見られない。

    1000ppmでは9種類中6種類の意思決定項目に低下が見られた。

    2500ppmでは9種類中7種類の意思決定項目に低下が見られた。

     

    個人の差はありますが、室内のCO2濃度が低いより高い方が意思決定力が低下することがわかりました。軽い眠気を誘うとされる1000ppmでは、半数以上の人が低下するので注意が必要という結果です。

     

    〇教室のCO2が減ることで得られる効果

     

      前述の通り、日本では建築物衛生法により、室内のCO2濃度は事業所などで1000ppm以下、幼稚園や学校は1500ppm以下と定められています。教育の場においても、CO2の濃度は授業との関係はあるのでしょうか。

    長野県にある伊那北高校による研究結果です。同校は長野県では上位の名門校ですが、教室内のCO2濃度が1500ppmの基準を超え、2500ppmになることも度々であることが問題となっていました。そこで次のような研究を行っています。

     

    ・生徒の授業中の居眠りとの関係

    各教室のCO2濃度と居眠りしている生徒の人数を調査。1500ppm以下の教室で居眠りした生徒は最高でも2.5人。それに対し、2500ppm以上の教室は、居眠りする生徒が4人近くまで増えた。

     

    ・計算速度、正解率との関係

     計算速度は2500ppm周辺から回答数の低下が見られた。正解率は2500ppm以下では96.5%~97%。2500ppm以上では95%強となり、1.5%ほどの低下が見られた。

     

    つまりCO2濃度が2500ppmを目安として、居眠りが増え、解ける問題数が減り、解いた問題の正解率が下がるという結果です。2500ppmは、科学技術振興機構が「健康に悪影響を及ぼす」としたレベルです。

     

    〇環境と健康の時代に立ちふさがるCO2

     

    この2つの研究結果を見ると、室内のCO2濃度は低い方が、頭の中が明瞭になると言えそうです。具体的な濃度としては眠気を覚える前の1000ppmを目安として、それ以下が

    集中し、効率よく進められ、業績アップが期待できる数値といえるかもしれません。いずれにせよ、CO2濃度は低ければ低いほど健康にはよい学校、良い会社と言えそうです。

     

    今までCO2の問題は地球温暖化と結びついて、環境面でクローズアップされてきました。しかしこうして最近は健康に対する影響も注目されるようになりました。中毒で死に至る例もでてきています。これからは環境・健康の両面で取り上げられていくでしょう。カーボンニュートラルといった国レベルで取り組む問題から、身近な生活に至るまで、様々な影響が出始めてきています。日本だけではなく、世界各地でおきている豪雨や熱波など異常気象は、災害だけではなく疫病なども併発しかねません。新型コロナウイルスの流行は記憶に新しいところです。まさに「環境と健康の時代に立ちふさがるCO2」という様相です。しかもCO2は目に見えません。見えない敵と戦っているのです。

     

    故に、地球上で唯一CO2を減らす能力があり、環境と健康の問題を解決出来る植物の力は益々重要になると考えられます。地球という大きな物語の中、最新の環境編で地球温暖化というヒールを演じたCO2は、健康編でもその威力を発揮しようとしています。主役として物語を牽引しなければいけない人間は苦しむだけです。

    そこで救世主として期待されるのは植物でしょう。緑の持つ様々な力でハッピーエンドにすべく、一

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