松は長寿、竹は成長繁栄 ~ 日本文化を継承する門松の歴史 ~ - 緑のレンタル | グリーンポケット          

小さな森づくりコラム

  • 2025.12.08

    コラム

    松は長寿、竹は成長繁栄 ~ 日本文化を継承する門松の歴史 ~

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    〇平安時代からある門松の歴史

    2025年も最後の1ケ月となりました。街は華やかなイルミネーションに包まれて、心も踊ります。今年のカレンダーはクリスマスが明けるとすぐに休暇となるお客様が多く、私たちはクリスマスツリーを撤去して正月の装飾に変えるなど、年末に向けて業務スケジュールは例年なくタイトになりそうです。 正月の飾り物といえばしめ縄や生花アレンジなど様々ですが、メインはやはり門松でしょう。門松は古来より、年神様(歳神様)を迎えるための依り代であり、天から目掛けて降りてくる目印となります。その起源は宇安時代と言われます。当時の宮中では「小松引き」という行事が行われていました。これは、初子の日に外出して松の小木を引き抜くという遊びで、持ち帰った松を長寿祈願のため家に飾り愛好する習慣があり、門松はこれが変化したものだとされています。現在も関西では旧家などでは、「根引きの松」といわれ、根が付いたままの小松(松の折枝は略式)が飾られる習慣があるそうです。 文献上の初出は、平安後期(11世紀頃)の詩文に「門戸に松を挿す」習慣が記録されています。吉田兼好は徒然草の中で「大路のさま、松立てわたして、花やかにうしれげなるこそ、またあはれなれ」と書いています。 室町時代以降は松に加えて竹が用いられるようになりました。松は「長寿」、竹は「成長繁栄」を象徴するとされました。また門松の様式には地方により差があります。例えば、関東地方は周囲に短めの若松を配置して下部をわらで巻きます。一方関西地方は前面に葉牡丹、後方に長めの若松や南天などを添えるといった具合です。各地方、様々な言い伝えや習わしがあるのも歴史を感じますね。

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    〇企業が門松を使う理由

    </ 門松が商売と結びつくのは近代に入ってからといわれます。企業が門松を飾る意味は、年神様を迎えるという日本文化の伝統継承だけではなく、経済的、社会的、文化的な意味があります。 経済的意味は「商売繁盛・企業繁栄の祈願」、社会的意味は「顧客へのおもてなし、ブランドイメージの演出」、文化的意味は「伝統継承と地域社会とのつながり」です。業種的にみると 百貨店など小売業では • 意味合い:来店客への「おもてなし」と「華やかさの演出」。 • 特徴:大型で豪華な門松を設置し、正月の雰囲気を強調。 • 狙い:顧客に「新年を祝う場」としての安心感を与え、ブランドイメージを高める。 ホテルなど観光業では • 意味合い:国内外の宿泊客に「日本文化体験」を提供。 • 特徴:伝統的な意匠を重視し、和風の門松をロビーや玄関に設置。 • 狙い:インバウンド客に「日本らしさ」を感じてもらうことで差別化。 銀行や証券会社など金融機関では • 意味合い:企業繁栄・地域社会との結びつきの象徴 • 特徴:比較的落ち着いたデザインで、格式を重んじる。 • 狙い:信頼感・安定感を演出し、地域社会への貢献姿勢を示す。 このように、門松は共通の意味を持ちながら、業界ごとに顧客・社員・地域社会へのメッセージ性がみえます。一般企業においては、会社の発展と社員の健康を祈願し、社内外に「新年のスタート」を告知して士気を高める意味合いが強いようです。長く続いている年始の習あるためか「日本の会社で初めて門松を飾った」という記録は残っていません。

     

    〇門松に関する過去の事件

    </ 門松は、かつては造園や園芸業者が材料である松や竹を扱うことから、製造や設置までを担うようになったと考えられます。そして1990年代、相次ぐ企業の総会屋への利益供与が発覚する中で、全く関係ない植木や門松という言葉が注目されたことがありました。大手企業が株主総会を円滑に進めるため、総会屋に「植木代」「門松代」「盆栽代」といった名目で利益供与を行っていたのです。企業不祥事として、メディアが大きく取り上げたのです。 総会屋とは株主総会で株主権を濫用し企業に不当な要求をして利益を得る者で、反社会的勢力といえます。昭和期には全国で8,000人以上存在したとされ、企業が総会屋に「利益供与」を行うことは当時は慣習となっていました。それが「植木代」「門松代」「盆栽代」といった名目で支払われるケースがあったようです。つまり、正月飾りや植木の贈答に見せかけた資金提供が裏で行われていました。 実際の例を時系列に挙げていくと、1992年にイトーヨーカドーが株主総会を円滑に進めるため、総会屋に「門松代」「盆栽代」として資金を渡していたことが報じられ、社長が引責辞任します。1993年にはキリンビールが帳簿上は「植木代・門松代」の名目の費用に見せかけて資金を渡していた実態が明らかになり、経営トップが辞任しています。 1996年には老舗の百貨店・高島屋で事実が発覚します。「高島屋、総会屋へ “門松代”名目で資金提供」と百貨店業界の悪しき慣習として報道され、総会屋に正月飾り代を名目に資金を渡していたことが分かり、コンプライアンスの欠如が批判されることになりました。 そして1997年は、 第一勧業銀行、味の素、野村証券において資金提供の実態が明らかになります。最も大きかったのは第一勧業銀行で、7月に産経新聞が「植木代」「門松代」「盆栽代」などの名目で総会屋に資金を渡していたと具体的に報道。総額460億円という資金が総会屋へ流れた大事件となり、逮捕者が出るに至ります。 勿論、植木屋や造園屋はこうした事件とは全く無関係でした。しかし、植木代、門松代という言葉が悪いイメージで報道されたため、心無い誤解も受けたようです。真面目に仕事をしていた彼らにとっては、本当に迷惑な話です。当時の造園業界団体は業界の名誉のために、「植木業界とは一切関係なく、植木屋の名を悪用しないでほしい」と、全マスコミに対し要請したのは当然のことでしょう。まだ、企業のコンプライアンスやCSRといった意識が希薄な時代だったのです。 一連の事件から約30ち、企業の担当者もこのような事件があったことすら知らない世代に変わりました。今では、グリーン・ポケットのお客様の多くが、レンタル同様通常のお付き合いの中で、門松やしめ縄などご利用いただいております。縁起物でありますので、コロナの時期も変わらず、今年も多くのご注文を頂きました。大変ありがたく、感謝申し上げる次第で

     

    〇2026年も明るい年に

    門松は日本文化の中で、長くその役割を果たしてきました。インバウンド人気で観光地としてだけではなく、日本文化に魅せられる外国人は多い。なかでも厳かなお正月は「日本を感じるイベント」として注目され、おせち料理、初詣、凧揚げや羽根つきなどと並んで門松を始めとする正月飾りも人気があるそうです。外国人からみても、どこかスピリチュアルな雰囲気を感じるのでしょう。ビジネスシーンの中でも長く続く日本文化を、これからも伝えていきたいと思います。 そして門松の納品が終わると、グリーン・ポケットの1年も終わります。今年も私たちのサービスをご愛顧頂き、誠にありがとうございました。来る2026年の夏、グリーン・ポケットを運営する国土緑化株式会社は創立49周年を迎えます。節目となる50周年を目前とし、その準備に向けた大切な1年となります。改めて理念「緑による文化の創造」を実現すべく、業務に励んでまいります。何卒宜しくお願い申し上げ、年末の挨拶とさせていただきます。

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