「小さな森づくり」を美しい日本語に ~風薫る、季節に満ちていく想い~ - 緑のレンタル | グリーンポケット          

小さな森づくりコラム

  • 2026.05.28

    小さな森づくり

    「小さな森づくり」を美しい日本語に ~風薫る、季節に満ちていく想い~

    新緑も濃い緑に変わってきました。来週から早くも6月、街は初夏の盛りを迎えています。30度に近い日が続いたかと思うと肌寒い日もありますが、風は爽やかに吹いています。まさに「風薫る」という言葉のように、よく晴れた午後などは「風薫る」という思いで満ちていきます。「薫る」は本来“良い香りがする”という意味があり、今年はNHKの朝ドラのタイトルとして耳にします。明治のナイチンゲールと称される大関和氏の功績に敬意を表し、その前向きな姿はまさに今の季節に重なります。 この時期ならばの、様々な奥深い日本語を紹介しましょう。

    <strong>〇日本の緑の歴史

    先ずは緑の話から始めます。5月4日はみどりの日でした。もともとは4月29日の昭和天皇誕生日の祝日がみどりの日と呼ばれていました。昭和天皇が自然を愛したことが由来とされます。 その後、「昭和という時代を振り返る日を作るべき」という意見が強まり、2007年に法改正が行われて、4月29日 → 昭和の日、みどりの日 → 5月4日に移動となりました。国民から大きな混乱もなく変更が受け入れられたのは、みどりという言葉の汎用性をあらわしています。 日本で「みどり」という言葉が登場するのは平安時代になってからです。これは本来、瑞々しさ(みずみずしさ)、新鮮で生き生きしている様や艶があって若々しい様を示す意味で、それが転じて新芽や枝を示すようになったといわれています。 最初は色を示す言葉ではありませんでした。黒く、つやのある女性の美しい髪のことを「みどりの黒髪」と呼ぶのはここからきています。漢字では、緑以外に、碧、翠も、みどりと読みます。碧は、光沢のある青緑色の石のことで、夏のよく晴れた日の青い空を「紺碧の空」といいます。翠は、純粋の粋と通じ「混じり気がない」という意味で、カワセミの雌の羽の色のことです。   このように、日本は緑色と青色を、同じ意味で使います。青信号が代表的で、青リンゴ、青虫、青のり、青竹、青々とした芝生など、実際は緑色なのに青色と表現されます。これは、日本には本来、赤・黒・白・青しか言い方がなかったためともいわれますし、「青二才」という言葉のように、果実の熟し具合からの転用で「幼い」「若い」「未熟である」という意味で一緒になったようで、生まれたばかりの赤ん坊のことを「嬰児(みどりご)」と言います。 緑色と青色を明確に切り分けない言語は非常に多く、東アジアの漢字文化圏、東南アジア、インド、アフリカ、マヤ語など中南米の言語にも見られます。

    〇初夏を表す美しい日本語

    そして緑の季節といえば初夏、5月から6月の時期でしょう。先ず5月は気候も良く次のような季節の言葉があります。 ・若葉雨(わかばあめ)=若葉に降るやさしい雨。梅雨ほど重くない。 ・青嵐(せいらん)=青葉を揺らす爽やかだけどやや強い風。 ・緑陰(りょくいん)=木陰、特に新緑の下の涼しさ。 ・夏隣(なつどなり)=夏がすぐそこまで来ている感じ。 ・薫風(くんぷう)=初夏の風が草木の香りを運んでくる様 雨、風、日陰、緑と、美しい日本の自然と結びついています。「若葉雨の午後」「緑陰のベンチ」など、優しく、静かで、心を鎮めてくれる情景が浮かんできます。こうした言葉を、日常生活の中にとりいれたいものです。 しかし近年、若い世代の語彙環境は大きく変化しています。SNSの短文文化、動画中心の情報摂取、AIによる文章生成など、便利さとスピードが優先される中で、若者たちは情緒を含んだ言葉を使う機会は減りつつあるようです。これは若い世代が“美しい日本語”を使わなくなったというより、触れる機会が減っているからでしょう。TikTok や Instagram の短尺動画では、言葉より映像が主役になります。LINE や X(旧Twitter)では、短く伝わる言葉が優先されます。社会全体の言語環境が変化した結果だと思います。 美しい日本語には、情景を想像させる余白があります。日々の暮らしの中で使われ、人の心に触れてこそ、文化として受け継がれていきます。「青嵐が駆け抜ける午後」「緑陰に憩うひととき」を感じる瞬間が増えれば、その言葉は未来へとつながっていきます。日本人として意識して伝えていきたい言葉です。

    〇6月は主役が花へ

    6月に入ると、街の表情が変わるのを感じるでしょう。新緑が主役だった景色は花へと主役を譲ります。緑の力強さに代わり、しっとりとした彩りが街を包み込むのです。 東京の初夏を語るうえで欠かせないのが、文京区の白山神社で行われる文京あじさいまつりでしょう。境内から白山公園にかけて咲き誇る約三千株の紫陽花は、青や紫、時に淡い紅を帯びながら、訪れる人々の心を静かに潤してくれます。雨が濡れた花びらがいっそう色を深める様子は、まさに日本の梅雨ならではの美しさと言えます。 また、葛飾区の堀切菖蒲園で催される葛飾菖蒲まつりも、この時期ならではの風物詩です。整然と植えられた花菖蒲が一斉に咲き誇る姿は、どこか江戸の庭園文化を思わせ、喧騒の中にあっても心を落ち着かせてくれます。派手さではなく、そうした日本人の美意識が、初夏の花々には確かに宿っているように感じます。 紫陽花の咲く道を歩くだけの人もいれば、知人と会話を重ねる人がいます。菖蒲の前で、言葉もなく立ち尽くす人もいる。そこには説明を必要としない「感じる時間」が流れています。人の営みと植物が重なり合うことで生まれるものだと思います。また、紫陽花は移ろう色が“変化を受け入れる力”、菖蒲の鮮やかは“心意気”“うれしい知らせ”を表します。初夏の花はただ美しいだけではなく、生命力も伝え、私たちを励ましてくれるのです。

    〇「小さな森づくり」を日本の季節の象徴に

    私たちグリーン・ポケットも観葉植物のレンタルを通じて、美しい日本の風景創りを行っています。「小さな森づくり」が、全ての日本の季節を象徴する言葉になればよいですね。近年は地球温暖化で春や秋が短くなり、「四季折々」という言葉が失われつつあります。インドア装飾であるグリーン・ポケットの「小さな森」が、「四季折々」という美しい言葉の意味を継承していくなら、こんな嬉しい夢はありません。

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